夜明け前

その時その時で

トースター


先日、ゼロからトースターを作って見た とういう本を読んだ。
原材料の発掘から、組みたてまで、自分でやってみようと思い立った若者の話。

それを読んで思った。
全ての出来事やものの背景には膨大なストーリーがある。

私は自転車を持っていて、乗っているけれど、使われている様々な部品の一つをとってもそれにまつわるストーリーは話しきれないほどだろう。
自転車の部品はどんなものから作られていて、その材料はどこで、どこの国のどんな人がどんな労働条件で、どんな休日を過ごし、どんな道具を使いどんな方法で採っているのか?

採るのに使う道具は、どんなもので、その道具何から作られてきてその材料はどこで、どこの国のどんな人がどんな労働条件で、どんな道具を使いどんな方法で採っているのだろうか。
自転車に乗る人はどういう経緯でどういう心境の時にどういうふうにして得たお金でいつ買ったのか。
誰が作ったどんなものを食べて得たエネルギーで漕ぐのか
いろんな疑問が湧いてきて....
エンドレスストーリー。

更に掘り下げ、分岐させていくと
その製造方法はどんな人がどんな体験を経て考えだしたものなのか。それを考えだした人が生命として存在するまでにはどんな人々にどんな出来事があってどんな関わりを持ったのだろうか。
そうしてできた部品はどんな経路で流通しているだろうか。
どんな道路を通って、その道路は誰がどんな材料を使ってどんな思いをして?

どんな人がどんなお店に置くか決めるのか。それを決める会社を起こした人のおじいちゃんの仕事の原動力だった好きなお酒は?そのお酒の産地は?誰がどこでどこから来たどんな肥料を使いどんな朝ごはんを食べてそのお酒を作ってるの?朝ごはんのスープを作る時に使うお湯はどうやって沸かすの?そのガスはどこから採掘されてくるの?そのガスが採れる土地の付近にはどんな生き物が住んでいるの?どんな木が生えているの?
出来上がったものはどのお店に置かれて、どんな人がどんな顔でどんな事を話して売るの?貰ったお金はどこのどんな会社のどんな人が印刷機のスイッチを押して印刷しているの?そのスイッチの色は何色でその材料はどこで、その色の色素はどこの国のどんな人がどんな労働条件で、どんな道具を使いどんな方法で採っているの。
それはどんな上司を持つどんな部下の男性が決めたの?その男性が愛用している娘からプレゼントしてもらった限定もの水色のネクタイは他に誰が欲しかったの?そのネクタイを裁縫した人の小さい時の夢は裁縫屋さんだったの?その裁縫屋さんが仕事帰りに信号を渡ろうとしたら向かい側からこちらに歩いくる荷物の重た老婦人と出会い、その日心に余裕のあったので話しかけて近くの家まで運んだら、お礼に食事に誘われて、楽しいひと時を過ごし、その後も度々一緒に食事をする関係が老婦人が雪解けの少し暖かい、梅が咲く季節に静かにベッドの上で息を引き取るまで続いたの?彼女の悩みは膝が痛む事で、彼女が楽しみにしていた朝刊の天声人語のひつ者は誰だったか。
彼女の家に朝刊を届けていた配達員さんが通っていた近所のレストランのウエイトレスの妹の部活動は何でその部活動に入部するきっかけになったテレビ番組を作ったプロデューサーは誰で編集にあたってイライラして大きな声を出してスタッフをびっくりさせたけど、なぜイライラしていたのか
赤い羽根募金にいくら募金したか、もらった羽をどこにつけていたか

その人が病気で寝込んだ時、どんなひとが販売したどんな薬を誰がどこで買って来たか、その薬はどこの誰がどんな仲間に囲まれてどんなふうに作ったのか。


大雑把にストーリーのトピックを立ててみたりしたけど、全部書いてたらこの世の全てのサーバーを使っても足りない情報量になるし、眠いし、命は尽きるし、書かない。

書かなくても今いる場所とか今いる人がその情報を持ってる。

ものすごい低い確率で、私たちやその周りのものは、日々たしかに存在したり、なくなったりしている。

あなたが気まぐれで殺さなかった蚊の存在が、宇宙規模の出来事に関わってくる可能性も、なくはないのです。


などと想像することが、わたしのリフレッシュ方法の一つなのだと思います。